フェルトセンスに触れてみよう!
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1.カウンセリングとフェルトセンス
その前に、少しだけカウンセリングとフェルトセンスの関係の概要を見てみましょう
それには、重要な二人の人物が関係しています。
一人目は、20世紀で最も影響力を持った心理療法家ともいわれています
カール・ロジャース(1902-1987)です。
クライアント(以下CL)中心療法、パーソンセンタードアプローチ、
エンカウンターグループなどの言葉は、一度は耳にしたことがある人も多いことでしょう。
晩年、最後の10年には世界平和にも貢献し、1987年にはノーベル平和賞にもノミネートされました
次に、フォーカシングを考案したユージン・ジェンドリン(1926-2017)です。
シカゴ大学で哲学を学び、ロジャースに師事、カウンセリング(以下CO)を学んでいます。
その後、体験過程理論を構築し、
その象徴として「フォーカシング」技法を体系化しました
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2.フェルトセンス
意味合いとしては、
「自分自身とじっくりと向き合い、
間をとりながら感じてくる体の実感」
のことを意味しています。
実際にカウンセリングを経験していると、このように体の感覚を伴う言葉を発する人は結構いる
なと実感します。また、たいていの場合、その混乱している心身の状況を、本人もうまく表現で
きず、困惑しているさまも見受けられます。
自分自身は学術的な研究をしているわけでもないため、中学以来続けている剣道のほか、
体を緩める様々な技法なども併せて学んできました。
そのため、この「フェルトセンス」という言葉には、非常に関心を持ったのです。
とかく、ノウハウや技法、知識的なテクニックなどが重要視されがちですが、
こういう一見曖昧模糊ではありますが、「モヤモヤ」したものへのアプローチは
意味があることのように思っています。
3.カウンセリングの3つの基本
ロジャースのCOにおける3つの基本姿勢で、特に重要視されている項目です。
様々な研修でもよく引き合いに出されるので、ご存じの方も多いことでしょう。
①無条件の肯定的配慮
COが、無条件(一切の偏見や条件付けをもたない)に、CLのどの側面にも、偏りがなく積極的、
かつ肯定的に関心を持つこと。CLの発言の中に、たとえ相互に矛盾することがあっても、
そのいずれもがCLのかけがえのない側面として大切に受け止めること。
![Aさん](https://activelifeplanning.com/wp-content/uploads/2020/07/220783df64afd15ca0d138c87346da24.jpg)
相手が、日常的に身近な人、良く知っている方などは余計にやりにくいこともあります。
②共感的理解
CLの私的な世界を、その微妙なニュアンスに至るまで、あかたもその人自身であるかのように感
じ取り、その感じ取ったことを丁寧に相手に伝え返していくこと。
重要なポイントは、この「あたかも」ということを見失わない事。
これについても、「積極的傾聴法」などの呼び方で、よく研修が実施されています。
ただ、実際に悩んでいる方と面談しているときのような臨場感は、
中々職場のメンバーとのワークでつかみ取るというのは難しいかもしれません。
ベテランのCOでさえ、聴くことは難しいという方もいるほどです。
私自身も、慣れていないころ、
うまく返せなくて、CLにキレられた経験もあります
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③「純粋性」「一致」「統合」
CLから、「ああ、こうなんだ」と実感として伝わってくるものに応答する事の大切さを意味している。
また、曖昧にしか伝わってこない事と、明確に区別しておくことも重要。
実感の伴わないものを無理に言葉にしていくと、CLとのリアルな関係を損ない、
雑に扱われている感じを与えることにもなりかねません。
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あちこちに脱線したりすることもよくあります。
話の中で、矛盾があったり、違うことを話し出すこともあります。
また、何度やっても話が、最初に戻りなかなか進展していかないケースもあります。
ジェンドリンは、「体験過程理論」を構築し、フォーカシング技法を考案しました。
上記のようなかみ合わなさを埋めるために、
その人の心の中にくすぶる「なにか」について寄り添っていく方法です。
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日常では、誰もあまりやったことがないでしょう!
4.体験過程理論
「体験過程」とは、自分の内側にたしかにあることを確かめることが出来、
また「これ」と指し示すことはできるのだけれども、
それが何を示しているのかまだ分からない漫然とした不明瞭な「感じ」のこと。
例えば、映画鑑賞した後感想を聞かれたとしよう。
自分では何と言ったら分からないけど、、心の中に「なんかある、感じ」みたいなものです
![Bさん](https://activelifeplanning.com/wp-content/uploads/2020/07/72dbacefee52eb363af2112018e4a5fb.jpg)
上記のような体験過程と、言語やイメージなどが相互作用して、
以前は停滞していた点でそれが進行するようになること(体験過程の推進)として、
治療的環境変化の理論解明をしたのです。
CLの内面で、自分自身の「感じ」の流れ(体験過程)に触れ、
その意味を問い合わせていくというプロセスが生じているという
「観察事実」の発見に基づいている。
字面ではわかりにくいですが、要するに
「自分自身にじっくり向き合い、心のメッセージを受け取り、
それを違う表現で表し、より明確にしていく作業」
のようなイメージである。
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5.フォーカシングのやり方
まず、「間を置く」。静かに目を閉じて、自分の内面に意識を向けていく。
そして優しく問いかける。
「ご機嫌いかがですか?」「最近どんなことが気になっていますか?」
気がかりなことが浮かんで来たら、それを大切に認めていく。否定はしないで…。
そして、その事柄が「どんな雰囲気を持っているか?」を観察してみる
その雰囲気に合った「置き場所」を探して、どこかに置く。
(ゴミ箱に捨てるなどのイメージはやめる)
置いた時の感じを探る。楽にならない場合には、置き場所を変えてみる
こうした作業を、順番に繰り返していくのである。
ゆっくり向き合っていると、
心の内側のメッセージが聞こえてきませんか?
体温が変化したり、涙が出てきたりすることもあります。
最近では、様々な環境変化の中で、「失感情症」や「失体感症」などといった
症例も出てきているようです。
また日々忙しく仕事に追い回されているいわゆる「ワーカホリック」は、
心の中に「多忙感」が蔓延し、本来の自分がどこかへ行ってしまいがちではありませんか?
こういう時にこそ、じっくりと自分自身に向き合ってみる価値はありそうです
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参考文献;
「心のメッセージを聴く」池見陽著 講談社現代新書
「カールロジャース入門 自分が自分になるということ」 諸富祥彦著 コスモライブラリー