心のブロッキングについて
傾聴のポイント
傾聴という言葉はよく使われていますね。でも、人の話を本当に受け止めて、聴くのは非常に難しいことです。
聞いているつもりでも、どうしても自分の意見を言ったりしてしまうこともあります。
また、相手の意見を否定したり、全然違う聞き取り方をしてしまったりもしています。
さらには、その日の自分の状況によって、聴き取り方の程度も大きく変わるでしょう。
カウンセリングでも、基本的な技法のひとつに、
「オウム返し」(相手の言葉を、その通りに返す)というものがあります。
でも、簡単そうで、やってみると意外に出来ないものです。
例えば、営業マンの一人が、意気揚々と会社に戻り、上司に向かって「やりました!今度の案件、予定通りOKもらえました」と報告に来ています。あなたなら、どう返しますか?
一般的には、「よくやった」とか、「そうおもっていたよ」などというような返事が多いのではないでしょうか。
でも、よく考えてみると、この二つは、どちらかというと、自分の意見を上から目線で、、相手に伝えている感じもします。「よくやった」自体が悪いというわけではありません。
あくまでも、オウム返しという視点からすると、ずれているという事に意識を向けてください。
教科書通りだと、「今回の案件、予定通りOKもらえたのですね」と受け止めてからの、「よくやった」の方が、より効果的だということです。
日常会話でも、こういうことがままあります。この微妙な感覚差が、人間関係をゆがめ、しいてはハラスメントなどにつながっているケースも多くあるように思えます。
私たちの脳や心にある、
様々な「思い込み」が何かしらの「ブロッキング」をしてしまうのです。
主体が自分になっていたり、勝手に様々な解釈や憶測をしたりしてしまいがちです。
私自身も、話すことに夢中になると、ついつい話過ぎてしまうことが良くあります。
気を付けてはいても、なかなかその場での修正は難しいですね。
大事なのは、
目の前にいる「相手の、今、ここ」の気持ちにフォーカスする
事です。
相手も、混乱していることが多いので、そういう場合には、
自分が冷静になって、相手の気持ちを整理するための、補助をするという形が理想です。
まずは、自分自身が落ち着いて、心身ともに冷静に相手と向かい合えるかどうかにかかっています。
武道でも、同じですが、心が乱れていると、それ自体が「スキ」を生み、勝負に勝てなくなります。
「無心」で向き合うことが求められます。
心身をニュートラにして、「思い込み」なく、無邪気な心で向かい合うことを大事にしたいですね。
以前、ベテランのカウンセラーの先生が、50年やってもまだまだ奥が深いを言われていたことが思い出されます