防災と農福連携??
先般、防災の専門家である兵庫県立大学の室崎先生のお話しをお聞きし、
それを踏まえて、気づいたことなどをまとめました
1・災害の本質
①今回のコロナもそうですが、圧倒的な「経済的損失」が発生します。
ライフラインが壊滅したり、生活基盤そのものが脅かされたりします。
また、年々その規模も大きくなり、中長期にわたる負担が強いられます。
今回のコロナでは、亡くなった方のお見送りですら出来ないという
悲惨な状況も目の当たりにしました
また年々、その規模や回数も増えつつあり、災害も多種多様になって来ています
②次に、地球からの警告とも感じられるような「社会的警告」が浴びせられています。
その背景には、国土開発の矛盾や、基本的インフラ体制の不備なども見受けられます
コロナ禍においては、世界的規模の連携体制にも疑問符が付きそうです。
さらに、コロナ対応において、日本のIT化の大変な遅れを感じ取っている人も多いでしょう
特に、宮崎先生は、「安全」は必要だが、十分な条件ではない
ということを主張されています
その大元には、「希望」や「挑戦」という視野を入れないといけない
と言われています。
2.災害復興の6つの課題
①医療・・・心身の保護、福祉とケアの連携
長引く避難所(自粛)での生活の支援、障がい者、高齢者などへの対応
枠組みを超えた、各種支援団体の連携問題など、コロナ禍でも現実問題としても
迫ってきています
②職場・・・産業、仕事の復興、日常の生業をいかに支えるか。
継続的な日常の支援という視点は、非常に重みを感じます
コロナ禍で、私自身自宅待機を余儀なくされ、半年もの間
売り上げを上げることが出来ない状況が続きました
大規模な会社でも、長引くにつれて、雇用解雇や倒産も増えつつあります。
芸能界をはじめ、自殺者も増えつつあります
前述の将来への「希望」を含めた、日常への支援策は今こそ必要に感じます
③住居・・・大きな災害で、全国各地に、自宅はおろか、地域そのものが崩壊という状態のと
ころが存在します。福島では、いまだ故郷に足を踏み入れることすらできない人もいるようです。
「居場所」があるというのは、大事なことだと思います。
財産はおろか、住む場所さえないというのは、どんな気持ちに
なるのでしょう。想像を絶するとしか表現できません。
④教育・・・非常にに大切な教育ですが、災害では学校そのものが避難所になることが多いで
すね。また、目先のことに翻弄され、教育は後回しになりがちです。
コロナ禍においても、いち早く学校が閉鎖されたことは記憶に新しいところです
直後は無理にしても、なるべく早く教育という大事な課題に取り掛かれるような
事前の準備は必要に思えます。
その時にしかできない大事なものは後回しにできません
⑤連携・・・繋がり、絆が重要なキーになります。その中で、災害では特に
「環境との共生」
を先生は訴えられています。
「大きなダムをつくる」「高い堤防を建設する」「高台に住居を映す」
確かに、安全性は増すかもしれないが、果たしてそれが正解なのだろうかという
投げかけです。
また、それに頼りすぎて、東北では悲惨なことなった事例もありました。
何が正解かは、はっきり示せませんが、確かに考えてみる価値はありそうです
⑥自治・・・地域活性化などでもよく言われていることですね。
外部からの資本だけに頼って進めると、うまく行かない事例が目立ちます。
そういう意味で、いかに地元の人たちで自らが進める地域力を構築することが
継続的復興のカギには違いないでしょう。
3.社会復興へのキーワード
①持続・・・持続発展、循環社会の実現。今注目されているSDGsそのものですね。
その時だけの、対処では先が続かないのは明白です。
多くの災害現場でも、息の長い復興が続いています。
②共生・・・特に自然や多文化との融合の重要性を先生は解いておられます。
文化や伝統、その土地土地の風土や景観なども踏まえての再開発をしないと
本当に意味があるかどうかわからないのではというご提言です。
確かに、風光明媚な田舎の風景に、近代的な巨大構造物は似つかわしくありません
先人の知恵なども参考にしながら、上手な共生を考えていく必要性はあるように
思えます
③自律・・・それぞれの地域が「自律」していく事。
また、一律ではなく「分散型の自治」を勧めておられます。
それぞれの特性や環境に適した「自律」方法は違うはずです。
まして、手厚すぎる行政などの支援に頼りすぎると、かえって「自律」
を損ねる原因にもなりかねません。
④協働・・・地域住民主体、共同参画
⑤縮減・・・コンパクトシティ、スローライフへの方向付け
⑥靭性・・・レジリエンス(しなやかな強さ)、バネ
これらに関しては、①~③までを踏まえて、相互に絡めながら進めるべきでしょう。
4.復興課題と農福連携の可能性
①居住、コミュニティ
大きな災害では、これらは壊滅してしまいます。また再興までには、それなりの長い時間
を要することは必至です
その中で、やはり安定的な「居場所」となる居住と、その場での「コミュニティ」
は非常に重要になります。
高齢化とともに、何らかの障がいを抱える人たちの中での、コミュニティという視野も外
せません。そのためにも、多分化や様々な団体、人たちなどの連携がより重要ですね
②農魚林村の発展
過疎化の進む、小さな農魚林村は全国に点在しています。
人手不足、高齢化、過疎化などは周知のとおりです。
特に森林の荒廃は、漁業やひいては土地の土壌にも影響を与え、農業にも波及する
大雨での相次ぐ土砂崩れなども、森林の荒廃と直結した問題ですね。
5.まとめと私見
今回、「防災」と「農福連携」という内容を聞いて、最初は少なからず疑問を抱いて
ました。ただ、聴き進むにつれ、この両者には意外と共通点が多いことを知りました
自分自身は、大きな災害で被災した経験は幸運なことにありません。
ただ今26歳になる長男は、生まれた直後に重度の知的障がいであることが分かりました
大きな災害の度に、もし避難所生活となっても、この子がいたらと思うと、気が気ではあ
りませんでした。
同じ境遇の親たちは、もし自分が死んだら・・・という不安と恐怖に毎日さいなまれ続け
ています。
障がいではなくても、高齢化に伴う自然老化などよって、似たようなことが
すぐまじかに迫ってきています
地元、住み慣れた地域で、安全に豊かに暮らすための「智慧づくり」の視点
として、今回のセミナーでは、大変良い学びをさせていただきました。