農業は障がい者に向いている?
今政府では農福連携推進が進められています。令和元年6月4日には農福連携推進ビジョンが出されています。最新版の農業白書もつい先日発行され、より重視される位置づけになっています。
私も長男が重度の知的障がい者で、我が息子自体は就労は無理な状況です。
しかし関心もあり、北海道のある地域では実際の現場でもかかわろうとしています。
障がいと言っても非常に幅も広く、個人個人でその症状や状況は大きく違っています。
ただ、ある条件さえ満たしていれば、十分生き生きと仕事をしていくことも可能です。
感覚的には、わかっていましたが、学術的にもこれを証明する様々な説があるようです。
まずは、「バイオフィリア仮説」というのがあります。
これは人間や様々な生物は、自然に対してポジティブに反応する強い傾向があると言うものです。
これによって思考の改善、ストレス回復、認知機能の改善、創造性の発揮に等につながるという説です。
また、「サバンナ仮設」です。見通しの良いサバンナなどで暮らしていると、肉食獣などの襲われにくい。人類はその中で生き残り世界中に広がっていったという説です。
また、緑の景観は、偏桃体の興奮をおさめ、ストレスを減らす作用があります。実際の病院でも、窓からの自然の眺めにより、術後の回復が早いというデータも出ているといいます。
上記のこの環境は、きわめて「農業の現場」でも近いものが見られるということです。
もう少し、詳しく見ると、次の4点となります。
一つは「解放」。特に北海道などの広い土地では、圧倒的な解放感があります。
次に、「広がり」。そして「魅了」。季節ごとの変化や、色とりどりの花。
そして、においや手触り。また収穫後の楽しみ。自分で作った作物を自分で料理して食べると、別に障がい者ではなくても笑顔になることでしょう。
最後に「適合性」。自分に合う仕事ができる環境です。
彼らは、総じて人間関係やコミュニケーションが苦手です。
ただ幸いなことに、農業作業の現場では、一般の会社ほどコミュニケーションが必要ではありません。また、作業一つ一つを区分していくと、単純作業の繰り返しも多いのです。
普通の人なら、すぐに飽きてしまうようなことでも、彼らは集中して続けることができます。報告書やプレゼンなどもないため、彼らにとっては快適な状況も多いのです。
ただ、冒頭記したように、それぞれの人の適正に合うように、作業や環境を整えることが大事になります。急な手順の変更や、複雑な作業にはついていけない方も多いからです。
それを現場でバックアップする、「農業版のジョブコーチ」養成講座に、私も参加し、何とかスキルやノウハウを向上しようとしています。
このコロナ騒ぎで、テレワークも進んでいますが、各地の過疎地への本格的移動の加速にもつながるかもしれません。また、ニートや引きこもりなどの人たちにも、環境が合えば十分にやっていけます。
新しい生活様式への移行の中で、この農福連携が一気に進んでいって欲しいと願っています。