教育の原点は、「知・徳・体」
第一章 根本目的の明確化
第一節 視点の転換
AIに限らず、新しい仕組みを組織に定着させるためには、単にツールを入れるだけではなく、
「人が理解し、使い、行動を変えていくところまで考える」という発想が、
ますます重要になっているのだと思います。
これは、企業研修についても全く同じです。
あなたの会社では、研修を計画するとき、最初に何を考えているでしょうか。
研修を考える際には、その前に一度立ち止まっていただきたいと思っています。
「そもそも、何のためにこの研修を行うのですか?」
ここが教育・研修の出発点です。
たとえば、「管理職研修を行う」という話になったとします。
研修そのものが目的ではなく、何のために研修をやるのかが重要です。
「若手社員が育っていない」
「管理職と部下との意思疎通が十分ではない」
「部署間の連携が悪くなっている」
「次世代の幹部が育っていない」
もしこうした課題があるのであれば、それを改善するために管理職研修が必要なのであって
管理職研修を実施すること自体が目的ではありません。
これは非常に大きな違いです。
企業教育も同じです。

第二節 順番の転換
だからこそ研修を企画するときには、
「何を教えるか」から考えるのではなく、
「社員にどうなってほしいのか」
「職場をどう変えたいのか」
「会社をどの方向へ進めたいのか」
から考えていただきたいのです。
経営理念や経営方針があり、その実現に必要な組織像があり、求める人材像がある。
そこから逆算して初めて、
「では、この教育が必要ですね」となるのではないでしょうか。
第三節 まとめ
教育・研修とは、知識を渡す場ではありません。
私は、会社が目指す未来と、社員一人ひとりの成長をつなぐ場だと考えています。
根本を掘り下げて、改めて眺めてみませんか?
第二章 継続的実施の重要性
第一節 思い込みへの「気づき」
企業のご担当者とお話ししていると、ときどきこんな言葉を耳にします。
「去年、管理職研修はやりました」
「コミュニケーション研修は以前やっています」
私はその言葉を聞くと、少し気になることがあります。
「では、その後、何が変わりましたか?」
ということです。

人間は、話を一度聞いただけで大きく変わるものではありません。
理解し、試してみる→うまくいかない→もう一度考える→再び試してみる→振り返る。
この繰り返しによって、初めて知識が「自分のもの」になっていきます。
第二節 循環の形成
ですから、研修 → 終了 ではなく、
事前学習 → 研修 → 職場実践 → 振り返り → フォロー → 再実践
という流れをつくることです。
この小さな循環を何度も回していくことが重要なのです。
ここで最近、大きな可能性を感じているのがAIの活用です。
以前なら、研修後のフォローを講師や人事担当者だけで継続することは、
時間的にも費用的にも簡単ではありませんでした。
しかし現在は、動画教材、オンライン学習、AIによる情報整理などを組み合わせることで、
集合研修の間にも継続して学ぶ環境をつくりやすくなっています。

ただし、ここで一つ忘れてはいけないことがあります。
「継続研修」という名前で、毎月ただ講義を増やせばよいわけではありません。
社員からすれば、「また研修ですか……」となってしまいます。
継続のために必要なのは、研修を増やすことではなく、仕事の中に学びを組み込むことです。
短い動画を見る。職場で10分間話し合う。
一つだけ実践する。上司から一言フィードバックをもらう。
こうした小さな仕組みなら、中小・中堅企業でも十分に取り組むことができます。
第三節 まとめ
そして何より大切なのは、経営者や上司が教育に関心を持ち続けることです。
「研修は人事に任せてある」
ではなく、
「この前の研修、その後どうだ?」「何か職場で試している?」「困っていることはないか?」
と声をかける。
たったそれだけでも、社員にとっては、
「会社は本気で自分たちを育てようとしている」
というメッセージになります。
教育はイベントではありません。
人を育てることは、会社を育てることです。
だからこそ、派手な一発の研修よりも、小さくても長く続く仕組みをつくる。
私はそこに、人材育成を成功させる大きな鍵があると考えています。
第三章 研修の体系化
第一節 俯瞰する
では、目的を明確にし、継続的に教育を行えば、それだけで十分なのでしょうか。
もう一つ、ぜひ考えていただきたいことがあります。
それが、教育・研修の体系化です。

あなたの会社で現在行っている研修を、一度思い浮かべてみてください。
多くの企業では、実に様々な研修が行われています。
ところが、
必要が生じるたびに研修を追加していった結果、いつの間にか研修がバラバラになってしまう。
私はこれを、教育が『点』になっている状態と考えています。
だから私は、まず会社として、「どんな人を育てたいのか」
を明確にすることが重要だと考えています。
そして、その人材像へ向かって、
教育を一つの流れとして整理していくのです。
第二節 体系化
さらに、階層別教育だけでは十分ではありません。
私は長年、心理学、カウンセリング、コーチング、組織活性化などに関わってきましたが、
人が成長するためには、単に「役職に必要な知識」だけを学べばよいとは思っていません。
ALPが大切にしているのが、「心・技・体」という考え方です。

「技」は、業務知識、専門能力、マネジメント、IT・AI活用など。
「心」は、仕事への姿勢、理念、倫理観、他者への思いやり、自分自身との向き合い方など。
「体」は、学んだことを実際に行動へ移し、習慣として継続していく力です。
企業研修では、どうしても「技・スキル」に偏りやすい傾向があります。
しかし、どれほど優れたマネジメント手法を「頭」で理解していても、
部下を大切にしようという「心」がなければ、その技術は十分に生かされません。
そして最後には、実際に行動する「体」が必要です。
この三つがつながって、初めて教育は力を発揮するのです。
さらに私は、教育体系の一番上には、企業の「理念」があるべきだと思っています。
理念があり、経営方針があり、求める人材像があり、その実現手段として教育がある。
この順番です。
研修体系も同様です。
研修会社から勧められたから実施する。
流行しているからAI研修をする。
問題が起きたからハラスメント研修をする。
もちろん、それぞれ必要な場合があります。
しかし、それだけでは教育は「対症療法」になってしまいます。
一度、年間の研修予定表を見るだけではなく、
「私たちの会社は、5年後、10年後にどんな人財を必要としているだろう?」
というところから逆算してみてはいかがでしょうか。
そして現在の教育を紙に書き出し、整理してみる。
すると、重複している研修や、反対に全く抜け落ちている領域が見えてくるはずです。
第三節 まとめ
一つひとつの研修という「点」をつなぎ、「線」にする。
階層、職種、理念、キャリア、心・技・体を組み合わせ、その線を「面」にしていく。

企業様向け企画URL https://cpr-st.com/lp/fawiyvjh373j
そして、その教育体系を毎年見直しながら、継続していく。
これからAIがさらに進化し、仕事の内容そのものが変化していく時代だからこそ、
私は企業教育の原点をもう一度見直す必要があると思っています。
新しい研修を増やす前に、
何のために育てるのか。
どのような人を育てるのか。
そして、その人たちとどのような会社をつくりたいのか。
そこから教育を組み立てていく。
それこそが、一時的な研修ではない、これからの時代に求められる「人を育て続ける会社」への第一歩ではないでしょうか。

